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入院中の出来事②

人間模様~病室にて①~

病院には様々な人間がいる。

スタッフも、患者も、その家族たちも。

われわれ家族に非常に好意的に接してくれたスタッフの方も多かったが、

好意的に見せかけているだけの、あまり面倒なことに巻き込まれたくないと

思っているスタッフも実は見受けられた。

たとえばママの入院していた産科病棟。

多くのスタッフは、ちょうど7年前、こちらで生まれた「チビ助」とその親として

記憶していてくれていた。

だからか、何をしても非常に目立ち、話のネタにされてしまう帰来があった。

ママが帝王切開翌日の朝から、階段でチビ助と僕のいる小児科病棟へ

パタパタ往復している姿がほとんど異常だったのか「パタ子」とあだ名されていた。

実は入院前、ママとチビ助がお世話になっている小児科の先生で何度も打ち合わせを

持っていた。

内容は、ママが出産のため入院するのが「産婦人科」、チビ助の掛かっているのが「小児科」

であり、同じ病院内でもフロアが違い、管理体制も違う。

こと産婦人科に至っては近年の「出産難民」の問題、「周産期医療センターたらい回し」の問題などで近所の大きな病院がことごとく出産受け入れを制限していた中、こちらの病院はNICUを小児科に併設し、下町の繁華街という場所柄、非常に多国籍な妊婦や小児が多く入・通院していた。

そんな背景を知りつつも、重症障碍を持つチビ助の日々の介護の問題とママの出産、万が一の体制など総合的に考えると、チビ助の慣れ親しんだこの病院に家族ごと最低期間入院してしまうことが最善策と考えた。

当然、東京都の重症障碍児専門のセンターにも相談していたが、折しも4月のこの時期、スタッフ入れ替えを新人研修など多忙過ぎで「原則入所お断り」と言われた件もあったからだ。

非常に信じられないことだった。

あまりに「役人的」な回答だった。

ママの出産まではチビ助は「検査入院」という名目で僕と小児科に入院。一旦退院という形を取り、ママとベビーがいる「産婦人科」の家族用特別個室を事前に抑えておき、そこにチビ助と僕が「家族宿泊」の形で同居するつもりで話していた。

しかし、小児科の先生と僕ら家族の思惑が大きく外れた。

ママが入院した「家族用特別個室」は僕だけならまだしも、「チビ助」は受け入れられないと産婦人科から内々に回答があった。

「介助」が必要だから、何かあっても責任が取れないから、という理由のようだった。

また更に不幸な状況が重なった。

出産翌々日くらいに感染傾向のある妊婦さんと思わしき方の入院が決まった。

そのため「家族用特別個室」を出て「一般個室」に移動となった。

一般個室では、スペースが非常に狭く、家族用のベッドなどは一緒に入れられない。

また更に、「パタ子」騒ぎで「あのお母さん、元気すぎるから早く退院させて」と

いう話があったらしく退院予定日よりも前倒しで退院することとなった。

当然事情があってのことだが、チビ助ママは必死だった。

ベビーもかわいいが、それ以上に小児科入院のチビ助のことが気が気でならなかった。

だから、「ちゃんと安静にして」と言われても小児科と産科のフロアを行き来した。

これが裏目に出た。

僕も入院2週間目に入るとさすがに会社に顔出しせざるを得ず、

日中だけ病院から出社した。

そして夕方前、病院に帰宅した。

そして夜は夜勤の看護師さんとともにチビ助の傍らで吸引や注入をしながら

チビ助の寝入るのを待った。

日中チビ助の近くに誰かいればいいのだが、痰の吸引が頻回なチビ助の場合、

特に痰の溜まる「ゴロゴロ音」自体がストレスとなり、痰の溜まりを加速させる。

これがひどくなり肺の炎症反応が大きくなって昔よく入院が長期化した。

だから僕らにとって過剰なまでに「吸引されない時間」が気になって仕方なく

看護師さんにも極力お願いした。

それでも正直、思ったほどの半分も実行はされていなかった。

あまりに忙しすぎる環境の中、そこまで1人の子供にかまっていられないのだろう。

だから僕の不在の日中、ママがチビ助に会いに頻繁に来ていた。

そして昨日の夜半、半ば強制的に病院退院となった。

最後まで好意的にベッドや機器類、ミルクなども提供ぢてくれた小児科に対し、

産婦人科は退院日を大幅に繰り上げただけでなく、当日になって退院予定時間も

数時間繰り上げさせた。

次の妊婦さんの緊急入院が決まり、それまでに病室を清掃しなければならないから、

というのが理由だったようだ。

お世話になったのは事実なので、小児科病棟だけでなく産婦人科病棟にも退院直前、

高級菓子の差し入れ手渡しをした。

その瞬間だけ「ママ、本当に悪かったわねえ、悪気があったわけじゃないから」と弁明があった、とママから報告を受けた。

今更腹は立てない。

けれど、これが現状。

これがこの国の本質なのかもしれないと思った。

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